前回、マディ・ウォータースのORIGINAL MASTER RECORDINGシリーズ、”FOLK SINGER”は是非、LPレコードで聴いていただきたいとお話ししました。まだ他にもいくつかの同じシリーズのLPレコードについて、私が聴いてみて音質的にいいなあと思うものを僭越ながら挙げてみたいと思います。
◉キャット・スティーブンス/Teaser and Firecat 私は英国の歴史、文化に大変興味があります。数年前にロンドンとリヴァプールに旅行に行きました。その英国のシンガーソングライター、キャット・スティーブンスのアルバム”Teaser and Firecat”の高音質盤レコードです。音質の良さ、ジャケットに使われているイラストの世界観が大変気に入っています。年配の方で洋楽に詳しい方ならこのアルバムのことはご存知かもしれません。このアルバムのB面に収められている”MORNING HAS BROKEN”は当時日本でもそれなりにヒットしました。エルトン・ジョンの”YOUR SONG”にも言えると思いますが、音楽のメロディーの点で日本人と英国人の感性は結構近いものがあるのでは?とつくづく感じます。
◉ピンク・フロイド/原子心母(ATOM HRART MOTHER) 次にご紹介するのは、やはり英国のプログレッシブ・ロックグループのピンク・フロイドです。オーディオ好き、またはロック好きの方々には説明の必要はないと思います。私は以前ピンク・フロイドの最高傑作は”THE WALL”だと思いますということを書きましたが、高音質盤のレコードの話なので、音質という点ではこちらの方に軍配が上がります。録音されたのはこの”原子心母”の方が古いのですが。このアルバムのCD盤ももちろん所有していますが、音の厚み、そしてこれが一番の違いだと思うのが、レコード盤の音は”その時代を感じる”ことです。最初に書いた”キャット・スティーブンス”も同じです。レコード針が拾う小さなキズのパチパチ音が理由なのか別の理由があるのかはよくわかりませんが。
◉ボストン/幻想飛行 私が大学生の2年か3年の時に友人の家で聴かせてもらった時になんと音のいいレコードだろうとびっくりした記憶があります。その盤の高音質盤なので当然素晴らしい音質です。グループの創始者トム・ショルツはマサチューセッツ工科大学を卒業したエンジニア出身のロックアーティストです。むずかしく考えないでスカッとしたい時に聴く、そんなレコードだと思います。CDも発売されていますが、ここはやはりレコード盤を聴いていただきたいと思います。
◉ニルヴァーナ/NEVERMIND グランジ・オルタナティブロックのスーパースターという形容句は1994年に自殺したリーダーであるコート・コバーンが一番望まない表現だと思います。全米No.1を記録したこのLPに収録されているA面の1曲目”Smells like Teen Spirit”のほとばしるギターとカート・コバーンのボーカルがストレートに響いてきます。暴力的?なサウンドなのですが、私はこのアルバム全体に流れている”悲しさ”を感じるのです。27年の人生だったカート・コバーン、自分の27歳の頃はどうだったかなと・・・
レコードをじっくり聴くと、まずアーティストが演奏している、あるいは楽器を弾いているシーンをもちろん想像します。と同時に私が今まで生きてきた過去のいろいろなシーンが甦ってきます。スマホをいじるのはたまには止めて、1日中音楽を聴く日もあっていいと思います。