エレーヌ・グリモーさんが弾くラフマニノフ「ピアノ・ソナタ 第2番 変ロ短調 作品36」

クラシックの世界で最近活躍がめざましいピアニストであるエレーヌ・グリモーのことはクラシックファンの方ならご存知だと思います。フランスで生まれ、13歳でパリ音楽院に入学が許され・・・有名な作曲家、演奏家では良く聞く話です。まあ、小さい頃から天才と呼ばれたピアニストだったのでしょう。このピアノ・ソナタを聴くと、ピアノは鍵盤楽器であると共に打楽器なのだということを改めて感じます。ピアノ・ソナタと言えばベートーベン、ショパンなど有名どころ以外にもじつに多くの作曲家がピアノ・ソナタを発表しています。

ラフマニノフの友人だった著名なピアニスト、ウラディミール・ホロヴィッツが独自に編曲した改訂版が主流になっているみたいですが、グリモーさんもご自分独自の解釈をもとに演奏されています。目をつぶって聴いていると今まで生きて来たいろいろな情景が浮かんできます。中学時代に吹奏楽に明け暮れていた時代、私の子供達が小さい頃の思い出、孫の顔を初めて見た時等・・・他の著名なピアニストの場合は作曲家の想いは伝わってきますし、なんと言っても卓越した演奏技術をベースにした圧倒的な表現力で迫ってくる・・こんなイメージです。グリモーさんももちろんテクニックは当然ある人です。しかし、それだけではないものがあるピアニストなのです。うまく説明できませんが・・・

グリモーさんはショパンの”ピアノ・ソナタ第2番”、ブラームスの”ピアノ協奏曲・第1番”/”第2番”、モーツアルトの”ピアノ協奏曲・第19番/23番”なども録音されています。それぞれ演奏が素晴らしく、特にブラームスのピアノ協奏曲は非常に洗練された演奏です。しかし、このラフマニノフ”ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調”の演奏の素晴らしさはわたしの中で際立っています。また、録音が大変優れていることも是非皆様にお伝えしておきます。先程お話したホロヴィッツの改訂版はあまり聴く気はありません。歴史的には重要な演奏かもしれませんが音質はあまり良くないと思うからです。

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