ストラヴィンスキー/バレエ音楽「火の鳥」1910年原典版について

”ミスチル”、”エルトン・ジョン”とクラシック音楽から離れてしまいました。今回はストラヴィンスキーのバレエ音楽についてお話したいと思います。まず、ストラヴィンスキーと言えば”春の祭典”だということは衆目の一致するところだと思います。初演はパリのシャンゼリゼー劇場、指揮はピエール・モントウー、ディアギレフのバレエ団、振り付けはニジンスキー。そして、粗暴ともいえるこのバレエ音楽に初めて接した聴衆はもう大変な騒ぎになり怒号が飛び交い・・今日ではこのことは大概のCDの曲目紹介で触れています。私は作曲家、楽器の演奏家でもありませんし、クラシック音楽評論家でもありませんが、ストラヴィンスキーはまぎれもない天才だったと思います。しかし、私はバレエ音楽”火の鳥”が一番好きなのです。”春の祭典”ほど前衛的ではなく、ロシアの民謡的旋律がふんだんに取り入れており、初演は先の”春の祭典”のような大騒ぎにならず、パリの聴衆にもすんなりと受け入れられたみたいです。ダイナミックレンジも広くオーディオファンのみなさんもCDを所有しておられる方も多いのではないでしょうか?ちなみに”Firebird  Loudspeaker  Cable”の名前はこの”火の鳥”からきています。ケーブルの商品名にするほど気に入っているこの曲は何回聴いたかわかりません。

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いろいろな指揮者と交響楽団がバレエ音楽”火の鳥”を録音しています。下記に紹介しているもの以外でも数種類あります。

◉小沢征爾指揮/パリ管弦楽団 1972年4月録音 東芝EMI

◉ピエール・ブーレーズ指揮/ニューヨーク・フィルハーモニック 1975年1月録音 グラムフォン

◉アンタル・ドラティ指揮/デトロイト交響楽団 1982年10月録音 デッカ

◉サイモン・ラトル指揮/バーミンガム市交響楽団 1987年10月録音 東芝EMI

◉ピエール・ブーレーズ指揮/クリーブランド管弦楽団 1991年3月 グラムフォン

◉アンドリス・ネルソンズ指揮/バーミンガム市交響楽団 2009年7月 ORFEO

ちょっと古い時期の録音ですが、小沢征爾指揮のものは、当時名録音として評判になりました。今聴いても弦楽器、金管楽器の響きが大変魅力的です。オーディオ的には新しい録音であるネルソンズ指揮のものはダイナミックレンジも広くお薦めです。やはり録音が良くないとこのバレエ音楽の素晴らしさは体感できません。そして、ブーレーズ指揮の2種類の”火の鳥”ですが、お薦めは断然ニューヨーク・フィルのLPレコードもので、冒頭のコントラバスによる不気味な低音域の序奏がレコードの溝にしっかりと刻まれています。