この時期になると聴きたくなるのが、J.S.バッハ「クリスマス・オラトリオ」なのです。

前回ご紹介したプッチーニの歌劇「トスカ」は以前このブログで紹介したことを忘れておりました。大変失礼しました。年ですかね。今回ご紹介するJ.S.バッハの「クリスマス・オラトリオ」も前にアナログ盤(ミッシェル・コルボ盤)のご紹介をいたしました。今年の最期を飾るこのブログはアナログ盤ではなくCD盤です。2017年12月3日にこのブログで紹介した曲目です。12月に入るとどうしても「クリスマス・オラトリオ」に触れたいのです。内容的には重複しているところが多いと思いますが、お付き合いください。そして、この一年間このブログにお付き合いいただいた皆様、誠にありがとうございました。今回はJ.S.バッハの曲を演奏するためにお生まれになったといっても過言ではない方・・・カール・リヒター氏であります。そのリヒター氏指揮による「クリスマス・オラトリオ」が1965年に手兵のミュンヘン・バッハ管弦楽団、ミュンヘン・バッハ合唱団と共に録音されました。今から60年くらい前のことですから当然ですがデジタル録音ではありません。

「クリスマス・オラトリオ」のCD盤としては、他にはニコラス・アーノンクール指揮、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス、アルノルト・シェーンベルク合唱団の盤を所有しています。このCD盤はSACDハイブリッド盤仕様なのでYAMAHA  CD-S2000で再生する時は、SACDで聴いています。音質的、空間的に広がる音は確かに素晴らしいものがあり、オーディオファンの皆様にはこちらのCD盤の方がお薦めなのですが、このリヒター盤から聴けるのは、”もうすぐクリスマスがはじまるのだ”という高揚感、そして指揮者リヒター氏に必死にくらいついてゆくミュンヘン・バッハ合唱団の方々、テノールのフリッツ・ヴァンダーリヒ、アルトのクリスタ・ルートヴィヒ、ソプラノのグンドゥラ・ヤノヴィッツなど声楽陣が素晴らしい。このリヒター盤はアーノンクール盤と決定的な相違点、それは人肌感というか全体を通して ” 優しさ ” が感じられることです。音質的にも尖った音ではなく音も優しいのです。私が年齢を重ねたのも関係しているのでしょうか。” やさしい音 ” というとなにかもやもやとした音というイメージを持たれると思いますが、音質的にもデジタル処理がされているので大変満足できるものです。このCD盤は3枚組で、ジャケットも厚紙を使ったボックス型のジャケットになっていて、通常の味気ない2枚組サイズのプラスチックケースではないところが非常に好感が持てます。DISC 1の冒頭 ” 合唱:天を統べたもう者よ、舌足らずの祈りを聞き入れ ” のクリスマスの高揚感がひしひしと伝わってきます。ドイツ・ルター派のクリスマスの世界観とはこうゆうものかと感じられます。私はこのオラトリオの中の一番のお気に入りの曲は、DISC2の14トラック目 ” 合唱:ひれ伏せ、感謝もて、ひれ伏せ讃美もて ”はバッハのメロディメーカーとしての才能が感じられます。そして、そして同じDISC 2の16トラック目のレチタティーヴォ(バス)と二重唱アリオーソ(ソプラノ合唱、バス)の掛け合い等聞き所満載のオラトリオです。

マライヤ・キャリーのクリスマスソングを聴くのも悪くはありませんけれども、J.S.バッハが生きた当時のクリスマスを迎えようとしている人々の息づかいが聴こえてくるようなこの「クリスマス・オラトリオ」に浸ってみるのも良いと思います。

リヒター盤のCDレーベルはアルヒーフ、CD番号はPOCA-9057~9です。アーノンクール盤のCDレーベルはドイツ・ハルモニアムンディ、CD盤号はBVCD-34041~42です。こちらは2枚組です。

私が若い頃のクリスマスというと、それはそれは大騒ぎでした。都内のシティホテルは満室(私はそんなことはしていませんが)、有名なレストランは予約がとれない等、大変なイベントだった記憶があります。今時はそんなことなどないみたいです。それはそれでちょっと寂しい気はしますが。