ショパンの ” ピアノ協奏曲 第1番 ” は有名ですが、F・リストの ” ピアノ協奏曲 第1番 ” はショパンのそれより一般的認知度という点で低い?のかもですが、何回か聴くにつれ実に奥深い協奏曲だなあと感じます。今回ご紹介する2枚のCD盤はこの楽曲のベストの演奏かどうかは別にして ” 4つの楽章からなるが、切れ目なく演奏され、主題も相互に持つため単一楽章の幻想曲のような印象を受ける” (ピアノ/フジ子・ヘミング、指揮ヘイコ・マティアス・フォルシュターン/ミュンヘン交響楽団/音楽ジャーナリス萩谷由喜子氏によるライナーから)とにこと。F・リストは今までの協奏曲から解き放たれて自らのイメージの発露といいますか、もっと自由な構成にしようと思われたのでしょうか。
前述のフジ子・ヘミングさんのピアノ、ミュンヘン交響楽団のCD盤から感じるのは、内面に迫ってやさしくも崇高なピアノを奏でるフジ子・ヘミングさんのお人柄が出ているような・・(お会いしたことなどありませんが)それに比べて、マルタ・アルゲリッチさんのピアノ、クラウディオ・アバド指揮、ロンドン交響楽団のCD盤(紙ジャケット)を聴くと、スピード感、超絶的ピアノテクニックを堪能できます。フジ子・ヘミングさんのピアノはちょっともどかしいかなと。1965年のショパン国際ピアノコンクールで審査員をされていた時のこと、ユーゴスラヴィアから参加したイーヴォ・ボゴレリチさんが本選に選ばれなかったことに抗議し、審査員を辞退されたという逸話があるアルゲリッチさんは気性が荒い方でしょうかね。そうゆう性格はピアノにはちゃんと出ますね。アルゲリッチ盤のスピード感は確かに凄いものがあります。この盤には「ショパン・ピアノ協奏曲 第1番」が収められていますが、こちらもスピード感溢れる恐るべき演奏です。ちょっとテンポが早すぎじゃない?と思うのは私だけですかね。遅いテンポが嫌いなのかも。アルゲリッチさん自身、ショパン国際コンクールで優勝した1965年の2年後に録音されたもので向かうところ敵なしの状態での録音になります。ハラハラドキドキ?の演奏か、フジ子・ヘミングさんの丁寧に曲の本質に迫ろうとする演奏をとるか・・・
フジ子・ヘミングさんのCD盤にはグリーグ作曲 ” ピアノ協奏曲 イ短調 ” が収められており。こちらの方もF・リストのピアノ協奏曲と同じくゆっくりめのテンポになっていてとても落ち着いて聴けます。
◯フジ子・ヘミング(ピアノ)、ヘイコ・マティアス・フォルシュターン指揮、ミュンヘン交響楽団のレーベル/ビクターエンタテイメント、CD番号VICC-60228 録音は2000年9月、ミュンヘン アルコ・スタジオと表記されています。
◯マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)、クラウディオ・アバド指揮、ロンドン交響楽団のレーベル/ドイツ・グラムフォン、CD番号はUCCG-9515 録音は1968年、LONDON Walthamstow Town Hallと表記されています。