1981年のカンヌ映画祭に出品されたのですが、惜しくもグランプリを逃した、クロード・ルルーシェ監督畢生の大作「LES UNS ET LES AUTRES(邦題:愛と哀しみのボレロ)」、私はこの映画が大好きで2回映画館に足を運びました。3回目はテレビの洋画劇場で観た記憶があります。20年くらい前のこと、ヤフオクでたまたまこの映画のサウンドトラック盤(見本盤ですが)が出品されていましたので、即落札しました。大作だけあってサントラ盤は2枚組のレコードになっています。普段は盤が傷まないようにカセットテープに録音してあるものを聴いていますが、今回ブログを書くにあたって久しぶりにアナログ盤に針を落としてみました。やはりというかカセットテープより音がいい・・当たり前ですよね。まずは映画を観ていただくのが一番ですけれども、42年くらい前の映画なのでビデオとかDVDはあるのでしょうか?ヤフオク等で探してみてもいいかもしれません。
製作・監督・脚本はクロード・ルルーシェ、「時代は1936年から1939年の2年、モスクワ、パリ、ベルリン、ニューヨーク。この4つの都市で、4つの生命が呱々の声をあげる。それぞれは、ユダヤ人の子であり、父なし子であり、富豪の子であり、ナチス協力者の子であった。この4人のライフ・ストーリーを縦糸としながら、戦後史に封印されたさまざまな事件を横糸として、そこに現代史、そこに生きた世界の人々の ”人生 ” が姿を現してくる。1980年にパリで行われるユニセフの世界音楽祭に収斂してくることによって一気にクライマックスを迎える。クロード・ルルーシェ監督はこの壮大なテーマを音楽と踊りを表現の”手段”として描いたもので、新しいミュージカルと呼ぶか、オペラと呼ぶか・・・華麗極まりない”映像”の出現というべきだろう。力強い、フランス映画の足音を聞く想いがする。そして音楽構成、音楽監督はミシェル・ルグラン、フランシス・レイというフランス映画音楽界を代表する2人の巨匠が参加しており、クロード・ルルーシェ監督の力の入れようをまざまざと感じる。前述の4人の子供達の中で、あるものはロシアのバレエダンサーヌレエフに、あるものはカラヤンに、あるものはフランスのシャンソン歌手エディット・ピアフに、あるものはアメリカ・ビッグバンドジャズのグレン・ミラーにと、その相貌が酷似してくるのである。いずれもが、現代史を絢爛と飾る芸術家の群像である。」以上、ライナーより前後部分的に抜粋しました。
映画の中の全体の振り付けは、バレエ界の鬼才と言われていて、20世紀バレエ団の主宰者でもあるモーリス・ベジャール、彼の振り付けでヌレーエフ役?のジョルジュ・ドンが踊るエンディングの、17分にわたるボレロのシーンは圧巻です。録音は1980年くらいの時代にもかかわらず素晴らしい。音響を担当されたアラン・モーリィという方のセンスが光ります。レコード番号は P-6475-6Wになります。
話は前後しますが、この作品をクロード・ルルーシェ監督が企画した時に以下の書き出しでシノプシス(あらすじ)を始めておられます。”人々の人生は、どんなに多くても、まとめてみれば、2つか3つのストーリーしかない。それなのに、人々はまるで、それが地球上初めての出来事であるかのように考える。先の世代は後の世代に批判され、その世代はまた次の世代に追われる・・・・と。前述のように、パリ、トロカデロ広場で行われるユニセフのチャリティコンサートにそれぞれ4人の子孫達が集うことになるクライマックスのシーンでラベル作曲の”ボレロ”が踊られるのです。こんなストーリーをルルーシェ監督はよくも考えたものだと思います。添付の表には登場人物の相関図が、そして歴史上の出来事が一番下に載っております。壮大なスケールの映画で、こんな映画は二度と作られることはないかもしれません。