今までいろいろなアナログ盤についてあれこれお話させていただきました。まあ、これからも私のお気に入りのアナログ盤の紹介はしていきたいと思っております。私が現在使用しているオーディオ機器(オーディオマニアの方々にとっては大した機器ではありません)の中で購入して本当に良かったなと思うものの一つにデンマークのカートリッジブランドであるオルトフォンのフォノイコライザー(人によってフォノアンプと呼ぶ方もおられます)EQA 555 MK2が挙げられます。オルトフォンはカートリッジ以外にもさきほどのフォノイコライザーやオーディオケーブルなどの製品も有名です。私が使っているカートリッジが同じオルトフォンMC20という製品なのでやはり相性の良さはもちろんあると思います。アナログ盤を再生するために独立したオーディオ機器であるフォノイコライザーを使うことによって得られる音の佇まいが私にはたまらなく魅力的だと感じています。けれども、じゃあアナログ盤を聴くにはどうゆうオーディオ機器が必要でどれくらいのグレードのものが必要なのか?と思われる方もおられますので、ここは私なりに考えを述べさせていただきます。
プリメインアンプ(インテグレーティッドアンプとも言います)というのはコントロールアンプ回路とパワーアンプ回路が一体(インテグレーティッド)になったタイプのアンプで、通常アンプと呼ばれるものはこのタイプです。例えばCDプレイヤーをアンプの入力端子に繋ぎ、スピーカーをアンプのスピーカー出力端子に繫いでアンプのボリュームを回せば音がでます。プリメインアンプは価格的には安価なもので数万円のものから70万くらいするものまで非常に価格的に幅があります。安価なプリメインアンプをはじめとしてほとんどのプリメインアンプにはフォノイコライザー回路が組み込まれているのでアナログ盤を聴くことはできます。フォノイコライザー回路というのは、レコード盤の溝にカートリッジの先端にある針でトレースさせるのですが、トレースした音楽信号は非常に微小な信号なので、フォノイコライザー回路でその微小信号を大きくしないといけないわけです。カートリッジにもMMタイプ(ムービング・マグネット)とMCタイプ(ムービング・コイル)の2種類がありますが、それぞれカートリッジの出力が違うので、微小信号を大きくする方法もいろいろです。アナログ盤の再生はなにかと複雑なのです。ただ、高額なプリメインアンプになるとそれなりに高級?なパーツをおそらく使っておられるので高額なプリメインアンプのフォノイコライザー回路は一応安心できるレベルだといえます。メーカーの方々、偉そうですみません。安価なプリメインアンプの場合でいうと、使用している部品のグレードがどうしても落ちてしまい、いわば最低限の回路構成になっているのは仕方のないことです。
アナログ盤という呼び方ではなかった頃の”レコード盤”と言っていた時代から、1990年代あたりまでは日本を含めた世界の各オーディオメーカーはレコード盤をいかにいい音で再生するかに命を賭けていた時代だったと思っています。フォノイコライザー回路はそれだけアンプの価値を決める大事な回路だったのです。1982年にCD盤が登場してもしばらくはアナログ盤は廃れませんでしたし、最近はアナログ盤再発見の流れが出てきています。
さて、オルトフォンのフォノイコライザー/EQA-555 MK2は”広帯域”な特性(ワイドレンジ)を謳っており、つまりオーケストラでいえば大太鼓の音をしっかり再生し、シンバルの高音域もきっちりと再現する・・それでいて、ピアノ協奏曲ならピアノの質感、声楽ならソリストの声の質感、シンフォニーホールの響きなどきちんと再生する優れもののフォノイコライザーだと思います。価格的には確か15万円くらいだったと思います。実売価格はもう少し安かったかもしれません。もちろんこの価格より低価格なものもありますが、レンジの広さなど音質的に満足できるかはなんともいえません。フォノイコライザーってそんなに高額なの?という感想をもたれた方もいらっしゃると思いますが、実際にはもっと高額なものもあります。過去、アメリカ合衆国コロラド州にあるオーディオブランド「BOULDER(ボルダー)」から、なんと400万円のフォノイコライザーが発売されました。電源部が別の筐体になっていて、見た目にも大袈裟な機器でした。今も販売しているかは不明です。こうゆう超高価格のものを購入する方はどんな方でしょうね?フォノイコライザーに興味を持たれた方はネットで”フォノイコライザー”とか”フォノアンプ”で検索するといろいろ出てきますので見ていただければと思います。