1939年に開催されたジュネーブ国際音楽コンクールで優勝し、審査委員長アルフレッド・コルトー氏から ” リストの再来 ” と賞賛されたピアニスト、ミケランジェリ氏は、第二次世界大戦中ファシズムに対するレジスタンス運動の闘士としても活躍されたみたいです。戦後楽壇に復帰されましたがまもなく重病を患って一時復帰が危ぶまれた時期もあったとのいことですが、1955年、ショパン国際ピアノコンクールの審査員と公式ピアニストに選ばれたことで復活。また、マルタ・アルゲリッチやマウリツィオ・ポリーニ(共にショパン国際ピアノコンクールで優勝)がミケランジェリに教えを請いに訪れたこともあるとのこと。この2人が教えを請うとはミケランジェリ氏はよほどの天才的ピアニストだったのでしょうね?ただ、異常なほどの完璧主義者、ドタキャンの名人等かなり扱いにくい方だったみたいです。
今回、取り上げさせていただくアナログ盤はミケランジェリ氏の名盤の中には入っていないかもしれません。A面の曲目はラフマニノフ作曲/ピアノ協奏曲 第4番 ト短調 作品40、B面はラベル作曲/ピアノ協奏曲 ト長調です。オーケストラは英国のフィルハーモニア オーケストラ、指揮はエトーレ・グラシス?(ギリシャ系の方でしょうか)となっています。このアナログ盤は輸入盤で英語表記になっていますので、指揮者名の表記が間違っているかもしれません。正直、出来としては ” ラベルのピアノ協奏曲はこんなに凄い曲だったっけ!” と思うほどの素晴らしい名演になっています。ラフマニノフの協奏曲も悪くないですが、ラベルの方が優れた演奏だと私は思います。それにしても、ミケランジェリ氏の機関銃のような超絶テクニックだけではない詩情に溢れた解釈が素晴らしい!
このアナログ盤に同封されているテスタメント(品質を証明するもの?という意味だと思います)によると、EMI master tapeを使用していることが明記されています。かなり、ちゃんとしたアナログ盤みたいです。録音はロンドン、アビーロードスタジオ、EMIのプレス工場で生産されたとのこと。ということでレーベルはEMI、レコード番号はASD 255となっています。ヤフオクで検索すると、CD盤も発売されているようですが、CD番号はわかりません。ラベルのピアノ協奏曲については、CD盤で別のピアニスト、クリスティアン・ツィメルマン、ピエール・ブーレーズ指揮/ロンドン交響楽団のものをご紹介しておきます。こちらはデジタル録音なので、大変クリアで明瞭な音になっていて、現代を代表するピアニストであるツィメルマンの超絶をこちらも堪能できます。がしかし、私はミケランジェリのアナログ盤を推薦いたします。
EMIは1931年から2012年まで存在したイギリスのレコード会社で、フィルハーモニア オーケストラはEMIスタジオで録音するために、EMIが編成したオーケストラだそうです。