昔の話になりますが「月刊stereo誌」という雑誌(現在もちゃんと刊行されています)の中で、”オーディオ評論家の先生方が持ち回りでオーディオファンの方々の自宅に赴いて、例えばスピーカーのセッティング等いろいろアドバイスをする”という企画がありました。今もそうゆう企画があるかはわかりません(最近購読しなくなりましたから)。その記事の中で、ある評論家の方のアドバイスで記憶に残っているのが、スピーカーケーブルの絶縁ビニールを長めに剥いてアンプ背面のスピーカー出力端子AとBを一気に繫ぎ、アンプ前面のスピーカースイッチをA+Bに設定する・・こうゆう方法を推奨しておられました。当時バイワイヤリング対応のスピーカーは市場にはなかったはずで(あったとしたらすみません)、当然シングルワイヤリング、つまりシンプルな1系統の繫ぎ方です。アドバイスを受けたオーディオファンの方のコメントは忘れてしまいました。なんせ、30年くらい前の話ですから。
半年くらい前に、”ファイアーバード・ジャンパーケーブル”を使って同じような接続方法をしてみました。シンプルな1系統の接続(アンプのスピーカー出力端子Aのみ)とどう違ったか、一言でいうと”なんか音が少し大きくなったな”です。ボリュームの位置は同じですが、ロックは迫力が出てきたかなという印象です。ストラヴィンスキー”火の鳥”、ヘンデル”メサイヤ”も迫力がアップ、オーディオマニア的には”情報量が増えた”というところでしょうか。写真は”ファイアーバード・ジャンパーケーブルB/Sタイプ”にスピーカーケーブルは”ファイアーバード・ラウドスピーカーケーブル”のスペードプラグを”スピーカーA”に接続しています。アンプ前面のスピーカー切り替えは”A+B”にしています。僭越ながら、オーディオ初心者のための低価格アンプのスピーカー出力端子は、バナナプラグ端子には対応していますが、スペードプラグに対応していないことが多いので、この接続方法はある程度のレベルのアンプ(要はスピーカー出力端子がバナナププラグ、スペードプラグ両方に対応しているもの)であることが前提になります。
メーカー推奨のスピーカーケーブルの繫ぎ方としては多少問題があるかもしれません。私が通常使っているヤマハA-S2000の取説には「スピーカーAとスピーカーBを同時に鳴らす場合は、それぞれのスピーカーの”インピーダンスが8Ω以上のものをご使用ください」と記載されています。他のメーカーもほぼ同じはずです。最大音量やそれに近い音量で試聴したい場合(通常ありえない状況ですが)はこの接続は避けた方が無難だと思います。インピーダンスはスピーカーの抵抗値のことです。