地方出身の私が東京の美大に入学が決まって上京した時に大変感動したことがあります。父に買ってもらった少し大きめのソニーのFMラジオから流れてくるサントリーウイスキーの臨場感あふれるラジオコマーシャルの音響的シズル感の音に震えました。それと今、時報を聴く機会が皆さんあまりないと思いますが、NHK第一放送やNHK FMは今でも真面目に”時報”を流しておられますが、当時FM東京の時報の枠をトリオ(現ケンウッド)が持っていました。トリオでけではなかったかもしれませんが・・間違っていたらすみません。民放FM局の時報の枠が金額的にどれくらいだったかわかりませんが、そのことをもってしても各オーディオメーカーはそれなりに儲かっていた時代だったのでしょう。トリオ(現ケンウッド)に限らず、私の大好きなブランドであるテクニクス、そしてデンオン(現デノン)、アンプで有名なサンスイ、そして他ブランドとは一線を画した衝撃的デザインでオーディオ界にデビューしたヤマハ、ヤマハはレコードプレイヤーでも定評がありました。そしてカセットデッキではマニアの信頼が厚かっソニー、やはりカセットデッキではサイズも尋常ではない超高級モデル「ナカミチ1000」を擁したナカミチ、スピーカーシステムではロングセラー、ビクター「SX-3」、またまたヤマハになりますが「NS-1000 Monitor」等々、今では想像できないほどオーディオ業界は活気に満ちていました。作れば売れるいい時代だったのでしょう。
間違いなく当時の若い男性の3種の神器の1つは”オーディオ製品でした。とにかく東京・秋葉原の電気街はオーディオ製品が溢れかえっていました。テクニクスの超高級コントロールアンプ「SU-A2」は当時なんと¥1,600,000、そして一緒に組み合わせるパワーアンプ「SE-A1」は¥1,000,000、合計¥2,5000,000ですから今のお金でいうとどれくらいになるのでしょうか?現在でも海外の高級ブランドのアンプなどは¥2,000,000を軽く超えるものもありますが実際どれくらい売れているかは非常に疑問ですが。思い出すとどんどんいわゆる名機と呼ばれるものが頭に浮かんできます。かなり前になりますが、誠文堂新光社から「日本のオーディオ高度成長期を飾ったオーディオ・クラシックモデル/1970~1980年代/無線と実験編集部編」が出ています。今売っているかは不明ですが、その当時の広告を含め代表的な各ブランドの製品が網羅されています。あの時代の元気があったオーディオ業界を知る上で大変貴重なものだと思います。因にこの頃スピーカーケーブルは逆に今ほど”大事な”オーディオパーツとして注目されていなかったのは残念ではあります。まあ、私が知らなかっただけかもしれませんが。