奏者である鈴木秀美さんはバッハ・コレギュウム・ジャパンの首席ソリストとして演奏するほか、ソリストとして活躍されている日本を代表するチェリストです。CDの説明文によると、楽器であるチェロは1570年頃にクレモナで制作されたアンドレア・アマティ(なぜか?がついています。)、組曲第6番のみ18世紀前半ドイツで制作された5弦のチェロ・ピッコロ、弓はルイス=エミリオ・ロドリゲスだそうです。アンドレア・アマティは確かヴァイオリンでも有名な楽器職人だったと思いますが、弓にいたっては、音大でチェロ、ヴァイオリンを専攻している方とかでなければわかりません。
そして、鈴木秀美さんは以下のことを述べられています。「日本人がヨーロッパ音楽をすることの困難さをひしひしと感じます。音楽を言葉として捉えることが出来なければ特に古い音楽はできません。」この発言はクラシック音楽に限らず”日本人がどうして西洋音楽をするのか?”というヨーロッパ人の素朴な疑問と符号しています。逆にヨーロッパ人が日本の伝統的音楽を演奏することは非常に稀です。日本人であるにも拘らず何故バッハ、ヘンデル、ショパンを演奏するのか・・・これは非常に大きく、そして複雑なテーマです。
まあ、そうゆう難しいことは置いといて「無伴奏チェロ組曲」を聴きましょう。冒頭の”組曲第1番ト長調BWV1007”はCMや映画の1シーンなどに使われているのでご存知の方は多いと思います。この曲を聴き込むうちにチェロを聴いているのではなくて”音楽そのもの”を聴いている気がしてきます。バッハが1本のチェロに対してどんな想いでこの曲をつくったのか・・・私がこの組曲に接するたびに思うのはバッハの真面目さ、そして計算された曲の構成力です。
尚、この曲を世界に広く紹介した有名なパブロ・カザルス盤(私は所有していません)も聴かなくてはいけないかなとは思っております。尚、他の奏者として、前にブログで紹介したヤーノシュ・シュタルケル、そしてソヴィエト連邦出身のミュシャ・マイスキーなどたくさんの奏者がこの曲を録音しています。