しばらく放っておいたCDを何かのきっかけで改めて聴いてみて、そして何気なくライナーを見たらこんな人たちが参加していたんだということがあります。今回ご案内する「ハービー・ハンコック/ガーシュイン・ワールド」のCD盤は20年くらい前にジャケットデザインが気に入り購入しました。アメリカ合衆国の作曲家ガーシュインの曲を中心に演奏されていますが、デューク・エリントンの ” コットン・テイル ” などスタンダードな曲も現代的な解釈で展開されているところがハンコックのセンスの良さが窺えます。参加している各メンバーの多面的な持ち味が発揮されており、聴く人を飽きさせない構成になっているところ が素晴らしいです。
私がこのアルバムの中で一番のお気に入りは、ジョニ・ミッチェルが歌っている ” ザ・マン・アイ・ラブ ” (トラック3)という曲で、大袈裟に言うと、このナンバーを聴くだけでもこのアルバムの価値はあるのではと思うほどで、ジョニ・ミッチェルのボーカルは聴いていてゾクッとします。そして、もう一曲ジョニ・ミッチェルの歌う、ガーシュインの有名なミュージカル ” ポーギーとベス ” から生まれたヒット曲 ” サマー・タイム ”(トラック10)も素晴らしく、なんとスティービー・ワンダーがハーモニカで共演しています。そして、このアルバムの本質というかコンセプトを感じられる曲が ” ララバイ”(トラック6)で、クラシックのジャンルから参加しているオルフェウス室内管弦楽団とハンコック、チック・コリアの弾くピアノのコラボレーションで非常にチャレンジ精神溢れる演奏になっています。また、ジャズの王道というべきアップテンポの曲 ” コットン・テイル ”(トラック9)はジャズファンの皆様にも大いに気に入っていただけるのではないかと。そして、CDライナーもお洒落なデザイン構成になっていてこちらの方もセンスの良さを感じます。
ちなみに参加ミュージシャン(パーソネル)を列記しますと、ハービー・ハンコック(ピアノ、オルガン)、スティービー・ワンダー(ボーカル、ハーモニカ)、ジョニ・ミッチェル(ボーカル)、キャスリーン・バトル(ボーカル)、ウェイン・ショーター(テナーサックス、ソプラノサックス)、チック・コリア(ピアノ)、ロン・カーター(ベース)、オルフェウス室内管弦楽団 1998年3月、4月にニューヨーク、同じ1998年6月にロスエンジェルスにて録音されたものです。
秋の夜長にとっておきのバーボンをロックで飲みながらこのCDを聴く・・・こうゆう贅沢?を味わえるのがオーディオの素晴らしさであり、オーディオファンの特権だと思います。CDレーベルはポリドール、CD番号 POCJ-1421です。このCD盤は録音が良いので、質のいい小型スピーカーでも十分に楽しめます。ただし、コットン・テイルなどジャズの王道?の曲はトーンコントロールでBASS(低域部)を少しブースト(強め)されると迫力が増してきます。
ジョニ・ミッチェルのことを少し紹介しようとしましたが、内容的にあまりにも書くことが多すぎて・・すみません、ウィキペディアに載っています。是非参照してください。ただのジャズ・シンガーではなく若い頃、ボブ・ディランが率いた ” ローリング・サンダー・レビュー ” にも参加されていた方です。やはりただ者ではない方です。ハービー・ハンコックはアメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身のジャズ・ピアニスト、シンセサイザー奏者、作曲家、プロデューサーで、過去グラミー賞を幾度となく受賞している方です。今回ご紹介したアルバムも1998年のグラミー賞で”最優秀ジャズ・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞を受賞されています。