R.シューマン「ピアノ協奏曲 イ短調 作品54」は冒頭からいきなりピアノが・・・。

ピアノ協奏曲としてはフレデリック・ショパンのピアノ協奏曲 第1番が有名ですが、このロベルト・シューマン作曲「ピアノ協奏曲 イ短調」も負けてはいません。シューマンは長い恋愛の末に恩師の娘さんであるクララ・ヴィークさんと結婚できたのは30歳の時だったそうです。翌年、愛する妻クララさんのために作曲した ” 幻想曲イ短調 ” が生まれました。そして4年後、親友メンデルスゾーンの協奏曲を聴いてその出来映えに大きなショックを受け、自分も彼に負けないようなピアノ協奏曲を書いてみたいと思い立ち、前に作曲した ” 幻想曲イ短調 ” に少し手を加え、第2楽章、第3楽章を書き足してまとめあげたのがこの「ピアノ協奏曲 イ短調 作品54」だそうです。そして、このピアノ協奏曲 イ短調は1846年に妻クララによって初演されました。(以上、CDで聴くクラシック名曲・名盤/出谷 啓 氏による)

今回この「ピアノ協奏曲 イ短調」を2枚のCD盤でご紹介してみよう思います。まず一枚目は前回登場した米国のピアニストマレイ・ペライヤ盤です。指揮はクラウディオ・アバド、オーケストラはベルリン・フィルハーモニー管弦楽団という豪華な布陣です。マレイ・ペライヤ氏の詩情豊かなピアノ演奏は相変わらずですが、それに加えて ” 熱く燃えるような生命の息づかい ” が感じられるものになっています。まず、第1楽章の冒頭からいきなりピアノ演奏が始まるところは、シューマンのセンスが光ります。そして、第2楽章の旋律の美しさをどう表現したらいいのかというくらいペライヤ氏のピアノが素晴らしい!そして、途切れることなく第3楽章に入っていきます。私は、この第3楽章のスリリングな展開を聴きたいがためにこの協奏曲を聴いているようなものです。このアップテンポでスリリングな展開を皆様にも是非体験していただきたいと思っております。そして、2枚目のCD盤は有名なアルゼンチン出身のピアニスト、マルタ・アルゲリッチ盤です。指揮はニコラウス・アーノンクールオーケストラはヨーロッパ室内管弦楽団です。アルゲリッチ氏は1965年のショパン国際ピアノコンクールで優勝された世界的なピアニストですで、日本とも関係が深く、浜松で開催される” 浜松国際ピアノ・コンペティション ” の審査員もされております。シューマンの「ピアノ協奏曲 イ短調」の録音は意外なことに初めてとのことですが、若い頃のエネルギッシュなピアノ演奏から、内面に突き刺さるような解釈も感じられるさすがの演奏です。ペライヤ氏のピアノ演奏と比べるとエネルギッシュさ、スリリングな演奏という点でアルゲリッチ氏の方が勝っているような気もしますが、ペライヤ氏のピアノテクニックも素晴らしく、リリシズム(詩情)の点でアルゲリッチ氏を凌いでいるイメージです。まあ、どちらも甲乙付けがたい演奏です。

●マレイ・ペライヤ盤/レーベルはソニー・クラシカル CD番号はSRCR  1995 他2曲(序奏とアレグロ・アパッショナート ト長調  作品92、序奏と協奏的アレグロ ニ短調  作品134)を収録 1994年 ドイツ、ベルリーナ・フィルハーモニー       ●マルタ・アルゲリッチ盤/レーベルはテルデック CD番号はWPCS-4300 他 シューマン作曲「ヴァイオリン協奏曲  ニ短調 を収録 1992年〜1993年 オーストリア、グラーツ、シュテファニアンザール(ライヴ録音)

使用スピーカーは、JBL 4319 コントロールモニターで試聴しております。このシューマンのピアノ協奏曲は低域部から高域のピアノの鍵盤まで弾かなくてはいけない曲なので、出来れば低域を担当するウーファーはなるべく大きいサイズのものが望ましいと思います。しかし、小型スピーカーでもアンプの低域のトーンコントロール(BASS)を少し強くすれば(ブースト)ピアノの低音部の鍵盤もしっかりと再生できバランスの取れた音質で楽しむことができます。トーンコントロールを使うのは邪道ではありません。有効に使いましょう。スピーカーケーブルは1ペア(S/Sタイプ)、ジャンパーケーブル1ペアはB/Sタイプを使用。