前回のブログでご紹介したフランス映画/邦題「愛と哀しみのボレロ」のサウンドトラック盤(アナログ盤2枚組)を久しぶりに聴いてみて思ったこと、それは「ボレロ」はとんでもなく凄い曲だということです。オーケストラバージョンのアナログ盤をきちんと聴いてみようということで、ラベルと同じフランス人、アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団演奏のアナログ盤を久しぶりに聴きました。1961年にパリのサル・ワグラムで録音されたもので、いささか古い録音ですが・・” 花のパリに、フランス的エスプリが残っていた時代の記録で、気品の高いニュアンスに溢れた演奏になっている “・・らしいです。クラシック音楽はあまり詳しくないという方も、聴けば ” これ、聴いたことある ”という曲です。昔、クルマのCMなどにも使われていましたし、フィギュア・スケートでも多く使われていて、クラシックコンサートでもたびたび演奏されるようです。演奏時間が15~17分くらいというところも長さ的にちょうどいいかもです。
作曲家モーリス・ラベルは、フランス南西部のスペインにほど近いフランス領バスク地方に生まれました。ちょっと乱暴な言い方ですが、母親がスペイン人の血を引いていることが「スペイン狂詩曲」等に表れている気がします。そして私が思うに、ラベルはバレエ音楽で才能を発揮された方なんじゃないかと思います。「ダフニスとクロエ」、「ラ・ヴァルス」、「マ・メール・ロワ」など情景描写という観点で聴くと、いろいろ風景が目の前に現れてくるのです。
今回取り上げた「ボレロ」は、作曲技法の点で際立って個性的です。同じリズムが保たれている中で、フィナーレに近い8小節以外、2種類の旋律が繰り返される構成になっていてます。最初は小太鼓が聴こえるか聴こえないかくらいの非常に静かに叩き始めます。次第にいろいろな楽器が加わって最後は全ての奏者のトゥッティーで終わります。
クリュイタンス盤の音質はお世辞にもいいとは言えませんが、フランスのオーケストラを表す表現でよくいわれる ” 色彩感 ” は感じます。私としては最後に大太鼓がズドーンと聴こえてほしいのです。その点ではCD盤になりますが、やはりフランス人、ピエール・ブーレーズ指揮/ベルリンフィル盤が素晴らしい録音になっており、最後のフィナーレは大迫力で終わります。CD盤になりますが音質の点でブーレーズ盤を購入すれば間違いないと思います。このCD盤はデザイン的にも大変気に入っております。クリュイタンス指揮/パリ音楽院盤のレーベルは東芝EMI、レコード番号はEAC-81022です。ブーレーズ指揮/ベルリンフィル盤のレーベルはドイツ・グラムフォン、CD番号はPOCG-1760です。