Sir(サー)の称号(1)を送られた、英国リバプール出身の指揮者、サー・サイモン・ラトルが1997年に、バーミンガム市交響楽団、バーミンガム市交響楽団合唱団、ユース・コーラスと共に録音した「マーラー/交響曲 第3番(夏の交響曲)ニ短調」のご紹介です。録音された場所は、バーミンガム・シンフォニーホールです。CDレーベルは東芝EMIで番号は ” TOCE-55484~55485 ”になります。この交響曲の他の指揮者として、レナード・バーンスタイン、ピエール・ブーレーズ、リッカルド・シャイーが挙げられますが、コーラスの素晴らしさの点で突出した出来だと断言します。CD2の二曲目「第5楽章:活発な態度で、表出は大胆に」は少年少女の合唱が鐘の響きをまねて”ビム、バム”を繰り返し、それに女声合唱が加わっていきます。指揮者サー・サイモン・ラトルと合唱団それにバーミンガム市交響楽団との信頼関係があってこその成果だと思います。作曲家マーラーの交響曲としては、祝祭的な第2番あたりが有名ですが、私は断然、第3番を推します。クラシック音楽の専門家ではありませんし、マーラーについてあれこれ言える立場ではないのですが、このサー・サイモン・ラトル指揮のこの交響曲の完成度が他の指揮者とは違う気がします。また、録音も素晴らしく、バスドラム(大太鼓)の低音もきちんと録音されています。偉そうな言い方で申し訳ありませんが、スピーカーはやはりそこそこの大型のもので聴かれることをお薦めします。低域を担当するスピーカー(ウーファー)は最低20cm口径で聴いていただきたいです。交響曲の再生はバスドラム(大太鼓)の音が再生できないと面白くありませんし、交響曲から感じられる印象も随分と違ってきます。
(1)・・・Sir(サー)とは、英国の「称号」のひとつで、日本語に訳すと”勲功爵”、”騎士爵”、”士爵”といいます。英国に貢献した人々に、エリザベス女王から贈られる称号の最下位にあたるものだそうです。上位の称号には”男爵”、”伯爵”、”公爵”などがあります。Sir(サー)は現在の英国法では”貴族”ではなく、あくまで貢献を賞するもの(叙勲)であって爵位の授与(叙爵)ではないみたいです。Sir(サー)を授与された人々の中で有名人としては、元ビートルズのポール・マッカートニー、ローリング・ストーンズのミック・ジャガー、エルトン・ジョンなど、俳優ではアンソニー・ホプキンスなどなど・・・もちろんクラシックの指揮者ではサー・ゲオルク・ショルティ、サー・ジョン・バルビローリ等がサーの称号を贈られています。