本格オーディオの愛好家、所謂オーディオファイルの方々に向けての雑誌である「Stereo Sound誌」は大変歴史あるオーディオ雑誌です。私も一時期、発売を大変心待ちにした一人ですが、最近はなぜか購入しなくなりました。どうして?と自分なりに考えてみました。高級指向の「Stereo Sound誌」ですから、低価格のオーディオ機器の新製品の紹介などしません、たぶん。新製品紹介記事は大概高額な機器を著名なオーディオ評論家の先生方が懇切丁寧に紹介するスタンスです。例えば数百万もするような海外の著名オーディオブランドのパワーアンプなどなど。まあ、こうゆう記事を見るたびに思うのは、こんなアンプ誰が買うの?です。「Stereo Sound誌」にはそうゆう有名ブランドのオーディオ機器に囲まれた生活を送っておられる方々のご自宅をオーディオ評論家の方が訪れていろいろお話を伺うなんていうコーナーもあります。私もそういうオーディオ生活に憧れた時期もありました。がしかし最近は、新製品の記事ならホームページで確認すればすみます。分厚い「Stereo Sound誌」は重く本屋さんから持って帰るのも大変、この雑誌を買わなくなった理由はもちろんこうゆうことだけではありません。年齢的にモノにそれほど執着しなくなったことが大きいのかなと自分では思っています。
私がいつも使っているオーディオ機器はCDプレイヤー以外、それほど高額な機器はありません。そのCDプレイヤーにしても現在生産は終了しているものなので、どこか故障でもしたら大変ですけれども。要は永く使って来た機器なので愛着があるのです。それぞれの機器が初期性能を維持しているかはわかりませんが、愛着のある機器なので、出て来る音も気に入っているのです。高額なオーディオ機器でなければ”いい音”は聴けないなんてことはないのです。「Stereo Sound誌」を否定するものではありませんし、「別冊Stereo Sound セレクトコンポシリーズ4/美音にひたる贅沢・私的サウンドデザイン35」は何回読み返したかわからないくらいです。
オーディオ雑誌では、もう1つ”音楽の友社”から出ている「月刊Stereo誌」があります。「Stereo Sound誌」が高級指向のオーディオファイルの方々をターゲットとしているのに対して、「月刊stereo誌」はオーディオファン、音楽ファンの方々に向けた雑誌ではないかと勝手に思っていますが、2020年の5月号の「月刊stereo誌」の特集記事で、”国産ガレージメーカーを訪ねる”の中に登場している「エルサウンド」というガレージメーカーの記事を少し紹介しようと思います。元ラックスマンに在籍されていた方が大阪で設立したメーカーみたいです。その方曰く、”オーディオはどんどん高級化し、庶民が気軽に楽しめるものではなくなってきた。オーディオは進化の名の下に、どんどんハイパワー化し、大きくて重い、豪華なデザインのものがいい音がするオーディオだと思われてきた。”そこにこの方は疑問をもち、”家庭で楽しむのに必要最低限の出力と大きさとし、シャーシも共通として、デザインに費用をかけずにその分高級なパーツを採用することで余計なコストを抑える”。大メーカーではできないガレージメーカーならでの発想ではないでしょうか?太字の部分はまさに「Stereo Sound誌」の世界観ですよね?私はこの記事に大変勇気づけられました。エルサウンドさん以外にも、ユニークなデザインで知られる47研究所、真空管アンプで有名なサンバレー、など数社のガレージメーカーを紹介されています。みなさん頑張っておられます!