シューベルト作曲「アルペジョーネ・ソナタ/イ短調D.821」の旋律が心を癒します。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

”アルペジョーネ”という楽器は皆さんご存知でしょうか?ギターの特徴を持っていながら弓で演奏をするところはチェロみたいです。チェロより少し小ぶりな大きさらしいですが、私は実物は見たことはありませんし、今では楽器自体ありません。かなり前になりますが、キングレコードが企画した”スーパーアナログディスク”シリーズ(要はオーディオ&クラシック音楽愛好家のために音の溝を深めに彫ったレコード盤がちょっと厚めのレコード)が発売されました。所有されている方もいらっしゃると思います。そのシリーズの中の1つ、シューベルト作曲「アルペジョーネ・ソナタ」を久しぶりに聴きました。シューベルトは本来アルペジョーネとピアノで演奏することを前提に作曲した訳ですが、現在ではアルペジョーネの代わりにチェロで演奏されるのが主流みたいです。アルペジョーネの演奏をYOU  TUBEで見ることができます。「おすすめクラシック シューベルト アルペジョーネソナタ」で検索してみてください。個人的には、聞き慣れたチェロの音色と比べると多少の違和感を感じますが・・。チェリストはムスティスラフ・ロストロポーヴィチです。旧ソヴィエト連邦のバクーに生まれた世界的チェリストであり、指揮者でもあります。結果的にソプラノ歌手である夫人と共にアメリカ合衆国に亡命、ワシントンのナショナル交響楽団の音楽監督に迎えられました。

さて、”アルペジョーネ・ソナタ”この曲の魅力はなんでしょうか?チェロ1本で演奏するチェロ・ソナタやチェロ組曲とは違い、ピアノが加わることにより重層的な音世界が展開されます。第一楽章冒頭の主題はピアノによって静かに始まり,そしてチェロがこの後同じ主題を追いかけるようにして進行していきます。この第一楽章のこの掛け合いが”アルペジョーネ・ソナタ”の魅力の全てだと私は思います。そして、展開部の始まりですばやくヘ長調に転調し、それからニ短調になって、そしてもとのイ短調にもどる等々・・。シューベルトに限らずプロの作曲家の構成力は凄いと思います。この曲には他にも有名なチェリスト、ピアニストによるCDがあります。私は所有していませんが、チェリストはミュシャ・マイスキー、ピアニストはショパン国際ピアノコンクールで1位を獲ったマルタ・アルゲリッチによるものが評価が高い演奏です。しかし、私としてはできればLPレコードで聴いていただきたいと思います。チェロの持つ孤高の音色を聴く事ができるLPレコードの音は私にとってかけがいのない宝物なのです。